clifford_jordanブローイング・イン・フロム・シカゴ
(BLOWING IN FROM CHICAGO)

クリフ(クリフォード)・ジョーダン(CLIFFORD JORDAN)、ジョン・ギルモア(JOHN GILMORE)の「ブローイング・イン・フロム・シカゴ」(BLOWING IN FROM CHICAGO)です。
●BLUENOTEの80年代におけるマイケル・カスクーナによる復刻版になります。いわゆる高音質復刻の一つだと思われます。レコード番号はBN-28977、オリジナルはBN-1549です。

パーソネルは、テナーサックスにクリフォード・ジョーダンとジョン・ギルモア、ピアノにホレス・シルヴァー、ベースにカーリー・ラッセル、ドラムスにアート・ブレイキーという2管のクインテット構成で、リズムセクションは正にブルーノート・ハウス・メンバーといったところでしょう。かのバードランドにおけるセクションそのままです。

このレコードは1957年にオリジナルが吹き込まれたもので、ジョニー・グリフィンの後にブルーノートがプッシュしたテナー・マンによる演奏です。

ちなみにジョーダンやギルモアは、グリフィンやリチャード・デイヴィスやジョン・ジェンキンス(北朝鮮で話題だったジェンキンスさんではありません、アルティストです)らと同窓だそうで、生粋シカゴニアンのNYデビュー作に当たります。グリフィンの恩恵を受けていたことは間違いありません。

収録曲は、A面に「Status Quo」、「Bo-Till」、「Blue Lights」の3曲、B面に「Billie’ Bounce」、「Evil Eye」、「Everywhere」の3曲の計6曲で、全編に渡って若々しいシカゴニアンによる掛け合いを楽しめます。

聴いてて、どっちがどっちかよく分からない感じですが、荒削りでハードな方がクリフで、スムーズな感じがギルモアだそうです。分かったような分からない説明でスンマヘン。

ジャケットで見ると、奥のメガネをかけたのがクリフで、手前のイカしたシャツを着たのがギルモアですね。クリフはどう見てもアゴの発達したアントニオ・猪木かアゴ&キンゾー、あるいは吉本新喜劇の辻本風ですから、異相と言えなくもありません。こういうアゴで吹かれたら、サックスも堪ったもんじゃありません。ゴリゴリの音、当たり前であります。

タイトルからして「シカゴ出身の吹きまくり」になりますから、テナー・バトルに分類して間違いなさそうですけど、同窓生なんだから、そこはバトルとは言え「なかよし俺らたち」の雰囲気も残していて好感が持てます。

ところで、クリフはその後もそこそこの活躍が伝えられ、70年代以降はストラタ・イーストなんぞに話題作を吹き込んでいましたが、ギルモアは何とサン・ラ・アーケストラに参加してしまいました。アーケストラではバンマスみたいな格付けだったそうですが、サン・ラも死んじまった今、一体どうしているのでしょう…。リーダー作はクリフと分けたこれだけみたいです。

ついでながら、クリフ・ジョーダンは、本来ならクリフォード・ジョーダンのはずですが、大体はクリフで登場しています。かのクリフォード・ブラウンに遠慮したのでしょうか。真相をご存知の方は質問欄にてお知らせください。余計なことですんまへん、どうぞお気になさらずに。


※このレコード評は、旧き佳き時代とジャズへの想いを込めた音化店主:能登一夫の評文です。