ケニー・バレル(KENNY BURRELL)

kenny_burrellブルー・バッシュ!
(BLUE BASH!)

ケニー・バレル(KENNY BURRELL)、ジミー・スミス(JIMMY SMITH)の「ブルー・バッシュ!」(BLUE BASH!)です。
●VERVEのオリジナル盤、モノラル仕様になります。レコード番号はV/V6-8553

このレコードは1963年の7月に収録されたもので、収録日が3回に分かれていますので、パーソネルにも変化があります。ギターにケニー・バレル、オルガンにジミー・スミスは不動なのですが、その他ベースにミルト・ヒントン、ジョージ・デュヴィヴィエ、ドラムスにメル・ルイス、ビル・イングリッシュ、オマケのギターにヴィンス・ギャンバレというようなメンバーになります。

収録曲は、A面に「Blue Bash」、「Travelin’」、「Fever」の3曲、B面に「Blues For Del」、「Easy Living」、「Soft Winds」、「Kenny’s Sound」の4曲、計7曲です。

こういう組み合わせは、大体聴く前から内容が想像されて楽しくなります。バレルのギターがスミスのオルガンに触発されて、より一層バリバリになるのが手に取るように分かるんじゃないですか?

アルバム・タイトル曲の「Blue Bash」は、そのまま訳せば「青い一発」とか「ブルーな一発」とかいう感じで、とにかく強烈な一発を決めるわけで、なるほど効くのは効くんですが、やや抑え目に聴こえてしまうのも初顔合わせのご愛嬌ということで…。ジャケットの写真まで青くて、何やってるんだか、そのまんまです。

実は1曲目よりも2曲目の方が「キツーイ一発」をかましてくれます。1曲目の録音からほぼ10日後の録音になり、コラボにも慣れたところを聴かせているんでしょうか。2曲目のノリノリと3曲目のリラックス・ムードが何とも言えません。ミルトのステディなベースも控え目ながら聴きものです。こういうおっさんのベースは味があっていいもんですね。

ジョージ・デュヴィヴィエが参加しているのが、B面の冒頭から3曲で、堅実で強靭なベースワークを聴かせてくれます。特にB面2曲目の「Easy Living」はジミー・スミスが抜けたトリオでの演奏で、実に雰囲気のあるプレイが聴けます。メル・ルイスのブラッシュ・ワークが中々絶妙ですよ。

最初と最後の2曲がヴィンス・ギャンバレの加わったメンバーによる演奏で、ベースラインをギャンバレが受け持っていますね。名前のごとく結構ガンバッテいるように聴こえるんですが、いかがでしょうか。

ミルト・ヒントンもジョージ・デュヴィヴィエも似たような名手かと思いますが、ここではジョージの方が良さそうな感じです。ミルトの音は若干薄めに聴こえるんですが、ドラムスの影響なんでしょうか?

いずれにしても、全編ブルージーな演奏で、バレルの特質は余すところなく現れており、ジミーのオルガンが強烈なスィング感を醸し出しています。要はオルガンのアーシーな音色を加味したノリノリの演奏かと思います。

私はたまたまバレルが好きなもので、彼の演奏なら何でもOKなんですが、ここでのバレルは通常以上にアグレッシヴなプレイになっています。正に触発されて何とやらの実例そのものでした。やりすぎるのも結構いいものです。イェーイ!ということで…。


※このレコード評は、旧き佳き時代とジャズへの想いを込めた音化店主:能登一夫の評文です。







kenny_burrellマン・アット・ワーク
(MAN AT WORK)

ケニー・バレル(KENNY BURRELL)の「マン・アット・ワーク」(MAN AT WORK)です。
●CADETのオリジナル盤、ステレオ仕様になります。レコード番号はLPS-769。

とは言うものの、実は既にARGOからリリースされていた「A NIGHT AT THE VANGUARD」のCADETによるリイシュー盤です。
一応CADETではオリジナルになるようなので、何とも表現に苦しむ盤ではあります。

このレコードは1959年にニューヨークのヴィレッジ・ヴァンガードでライブ収録されたものです。「NYでのライブなのに、何でシカゴのレーベルなんだ」と野暮は言いっこなしです。バレルにあやかってNYに来たかったんじゃないですか、CHESS(すなわちARGOでCADET)の面々も。

パーソネルはギターにケニー・バレル、ベースにリチャード・デイヴィス、ドラムスにロイ・ヘインズというトリオです。

収録曲は、A面に「All Night Long」、「Will You Still Be Mine」、「I’m A Fool To Want You」、「Trio」の4曲、B面に「Broadway」、「Soft Winds」、「Just A-sittin’ And A-rockin’」、「Well, You Needn’t」の4曲、計8曲です。「Soft Winds」はバレルのお気に入りみたいですね。どこかでも見掛けたことがあります。

こういう組み合わせの場合は、バレル節が横溢するような感じですね。ベースもドラムスもそれぞれが達人で、誰にでも合わせられるヴァーサタイルなプレイヤーですから、バレルの特色を打ち消すことなくバッキングするはずです。

で、結果は大体そのとおり。ロイ・ヘインズのドラムスが必要以上に大きく聴こえる箇所はありますが、それはそれで快適に聴こえますから、やっぱりロイは只者ではないのでした。この人はホンマに凄いと思います、今更ながら。リチャード・デイヴィスも堅実かつ強靭、ぶれないバックアップで盛り立てています。後年の見るも無残な姿は、この頃からは想像できません。

アルバム・タイトルが泣かせますし、ジャケットを飾る「仕事中の人」って立て看板がイナセじゃあーりませんか。このジャケットだけで私は買いでした。ドン・ブロンスタインとかいう人の写真だそうですが、こういうのが好きですね、私は。ARGOのは若いバレルがギターを持って写っているだけのツマンナイものでしたから、ジャケットで言うなら断然こっちです。

さて、1曲目は「All Night Long」です。プレスティッジに同名のアルバムがあり、バレルの代名詞みたいに扱われている曲かもしれません。一晩中ナニをやっていたのかは知りませんが、けだるいようでウキウキの雰囲気が堪りませんね。まあ事後は充足感でこんなものなのでしょう…。シングル・ラインとコードのバランスが絶妙です。黙って聴けば、ピタリと分かるの典型ですから、聴いてみてください。

2曲目は「Will You Still Be Mine」。作者はマット・デニスですね。「マットでニス」とか「マットで西」じゃありませんので、お間違いなきよう。レッド・ガーランドの超有名盤「グルーヴィー」に入っていますから、皆さんよくご存知のアノ曲です。軽快なタッチでブリブリ迫ります。ロイ・ヘインズが抜群のバッキングです。原曲は曲中にいろんな固有名詞(つまりは人の名前)が出てくる面白い曲です。かの、マリリン・モンローの名前も出てきて「胸の小さい太ったオバサンでも…」なんていう歌詞があるそうです。なーんだ、要するに「私がおばさんになっても」のリメイクなんですか、って逆だろ! でも森高千里は良かったですね、最後の正統派アイドルじゃないかと今も密かに慕っています。江口洋介と結婚して子供も儲けてしまいました、くそーっ、残念!

3曲目が「I’m A Fool To Want You」で、翻訳ソフトでは「私はあなたが欲しい馬鹿です」になるんですが、歌詞を見てたら、やっぱり馬鹿者かと思わないでもありません。どうもシナトラが作詞したものにプロがちょいと手を加えたという出自のようです。男性でも女性でもどちらでも歌えるような内容ですけど、どっちかというと女性が歌った方が合うかもしれません。要するに、「手に負えない異性(いわゆるプレイ・ボーイかガールか)を好きになって、何度も別れようとして、実際別れたんだけど、やっぱりアノ人が忘れられない。ああ、アナタなしにはいられない」という、よくあるアンポンタンの歌ですね。

何でもシナトラが1951年にこれを歌ったときは、離婚の後にエヴァ・ガードナーと結婚した頃だそうで、自分の境遇を歌ってたんですね。バレルの演奏は、ギターであたかもその詩を歌っているかのように聴こえます。欲目かもしれませんが、ライブでの雰囲気がそれをさらに助長して、傑作バラードになりました。

4曲目は「Trio」です。エロル・ガーナーの作になる快活な曲で、彼の作は「Misty」だけではなかったのでした。前曲とはうって変わった明るいプレイです。ここでもコードとシングル・トーンのバランスが見事で、こんな演奏もできるんだよとでも言いたげなプレイが必聴でしょう。ヘインズのドラムがやっぱり大きいかなあ?

B面に移って1曲目が「Broadway」です。作者がBird, Woode, McRaeとありますから、パーカーとジミー・ウッドとカーメン・マクレーの共作かと思いきや、全然違う人でした。ビル・バード、テディ・マクレー、ヘンリー・ウッドという人たちです。一応スタンダードになってますね。バップのノリでいてメロディアスに展開するバレルは快感です。後半のバレルとヘインズの交換では、ヘインズの無造作のようでいて的確な応答に痺れますよ。

2曲目は「Soft Winds」で、ご存知ベニー・グッドマンの作です。その昔、グッドマンはハンプトンやチャーリー・クリスチャンを加えたセクステットで初演してます。すべてのギタリストにとってクリスチャンは尊敬に値する存在ですから、バレルも敬意を表して採り上げたんでしょうか。あっという間にブラシとスティックを持ち替えるヘインズは手品師かいな…。

3曲目は「Just A-sittin’ And A-rockin’」といいます。エリントンとビリー・ストレイホーンの作で、ちょうど座ると揺れるんでしょうか? よく分かりませんが、バレルはエリントンが好きなんですね、そんな敬愛の感じられる演奏でした。

最後の曲が「Well, You Needn’t」で、これも有名曲の一つですね。お馴染みのセロニアス・モンクによる作曲です。モンクのトリオ・アルバムでも聴けますが、ここでのバレルはモンク風どっぷりではなくて、やっぱり多少はメロディアスに演奏してます。余計なことは「しなくていいよ」ってなもんですかね。

全編に渡って、バレルのレロレロ・トーンが快調です。専門的な用語では他の表現も可能でしょうが、私は専門ではありませんので、こんな表現でご勘弁を。生硬でハードなバレルがレレレレー、ローンローンと聴こえるのは私だけでしょうか…。

私はたまたまバレルが好きなもので、彼の演奏なら何でもOKなんですが、ここでのバレルは生真面目な中に太目のトーンでグイグイ迫ります。BNの有名盤に劣らぬ演奏だと勝手に思っています。さっきも書きましたが、ドラムスの音がやや大き目に聴こえるところが気にならなくもないのですが、ライブだから仕方がないと言えばそれまでです。でも、収録する席が悪かったんじゃないの、と突っ込みたくなる録音ではありました。暴言多謝。


※このレコード評は、旧き佳き時代とジャズへの想いを込めた音化店主:能登一夫の評文です。







kenny_burrellムーン・アンド・サンド
(MOON AND SAND)

ケニー・バレル(KENNY BURRELL)の「ムーン・アンド・サンド」(MOON AND SAND)です。
●CONCORDのオリジナル盤になります。

パーソネルは、ギターにケニー・バレル、ベースにジョン・ハード、ドラムスにロイ・マッカーディ、パーカッションにケンネス・ナッシュという顔ぶれで、ブルージーな演奏に好適な人選と言えます。

ケニー・バレルといえば、一連のブルーノートやプレスティッジ、ヴァーブでの作品が有名ですが、それらは大体1960年代までのことで、1970年以降はミューズやコンコード、ファンタジーに快調な作品を残しています。

このレコードは1980年に録音されたもので、コンコードのレーベル・イメージ(そんなものあるのか?)に合った控えめながら充実した演奏を聴かせてくれます。

アルバム・タイトルにもなっている1曲目の「ムーン・アンド・サンド」は、かつてギル・エバンスのアレンジで録音された「ギター・フォームズ」からの再演になります。比べるのもバカらしいほどの編成差ですが、聴き比べてみるのも一興ではあります。

曲目中の白眉はB面の「ストールン・モーメンツ」かもしれません。この曲はオリバー・ネルソンの作曲になる佳曲で、邦題「ブルースの真実」に収録されています。オリジナルではセクステット程度での演奏で、元々どこかミステリアスな原曲です。ここでは、殆どバレルとジョン・ハードのデュエットのようで、さらに渋く都会の退廃を加えたかのごとき演奏です。こいつは必聴です。


※このレコード評は、旧き佳き時代とジャズへの想いを込めた音化店主:能登一夫の評文です。







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