art_blakey01キーストン3
(KEYSTONE 3)

アート・ブレイキー(ART BLAKEY)、ジャズ・メッセンジャーズの「キーストン3」(KEYSTONE 3)です。
CONCORDのオリジナル盤になります。
まあ、この時期のオリジナル盤にはそれほど意義のあるものではないかもしれません。

このレコードは1982年の1月に、サンフランシスコのキーストンで録音されたライブ盤で、パーソネルは、トランペットにウィントン・マルサリス、アルトサックスにブランフォード・マルサリス、テナーサックスにビル・ピアース、ピアノにドナルド・ブラウン、ベースにチャールズ・ファンブロー、そしてドラムスに御大アート・ブレイキーという布陣です。

何といってもデビュー直後とも言えるウィントン・マルサリスが注目・必聴で、後年の冷めた感じは微塵もなく、熱いプレイは素晴らしい出来です。ビル・ピアースやブランフォードも中々にアグレッシブな演奏で、それらをプッシュするブレイキーも老いたりとは言え流石です。


※このレコード評は、旧き佳き時代とジャズへの想いを込めた音化店主:能登一夫の評文です。







art_blakey02ジャイアンツ・オブ・ジャズ
(THE GIANTS OF JAZZ)

アート・ブレイキー(ART BLAKEY)、ディジー・ガレスピー(DIZZY GILLESPIE)、セロニアス・モンク(THELONIUS MONK)ほかの「ジャイアンツ・オブ・ジャズ」(THE GIANTS OF JAZZ)、2枚組です。
ATLANTICのオリジナル盤になります。

このレコードは、1971年に「ジャイアンツ・オブ・ジャズ」として臨時に結成されたグループが、欧州楽旅中にイギリスはロンドンのヴィクトリア・シアターで行ったライブを録音したものです。プロデューサーはジョージ・ウェインで、リミックスやハサミを入れたのは、あのマイケル・カスクーナとのクレジットがあります。

メンバーそれぞれがジャズ・コンボのリーダークラスで、それ故の「ジャイアンツ・オブ・ジャズ」ということですが、こういったネーム・バリューだけで寄せ集めると碌でもない演奏になるのがよくあるパターンなものの、このライブは数少ない成功例だと思います。

たまたま出たがりのガレスピーが参加していますので、ずっこけた演奏になる可能性が大でしたが、どうやらそれを救ったのはアート・ブレイキーじゃないかと思います。

道化は天下一品ながら、リーダーとしての資質に欠けるガレスピーに任せるのではなく、強力なバックアップが信条であるブレイキーに委ねたことが、このレコードのサクセスだったようです。斯様にリーダーシップというのは人を選ぶもののようで、ジャケット表面にドラムセットを配したデザインが無言の内に物語っているように私には思えました。

このグループでのレコード・リリースは3枚くらいしかないようで、このアトランティックの他はコンコードとエマーシーでリリースされたくらいでしょう。2枚組である本LPが最も忠実にライブの様子を伝えているはずです。

演奏される曲目は、お馴染みの曲が並び、ガレスピー作曲の「チュニジアの夜」や「ウッディン・ユー」、「ブルーン・ブギー」、あるいはモンク作曲の「ブルー・モンク」、「ラウンド・ミッドナイト」などです。この辺の選曲にも、どうやらブレイキーの意図が働いているようで、タイプは違えどウルサ型のガレスピーとモンクに敬意を表した形にしているのだと思われます。

お陰で、ガレスピーはすんでのところで道化の一歩手前で踏み止まり、モンクにはいつになく明るさを感じるような演奏になっています。

スティットやカイ・ウィンディングは常に平均以上のプレイをしますから、安心して聴いていられます。また、あまり目立ちませんが、アル・マッキボンの堅実なプレイも一聴の価値があります。

安全パイとも言うべき、ベテラン達の熱演はいかがでしょうか?


※このレコード評は、旧き佳き時代とジャズへの想いを込めた音化店主:能登一夫の評文です。







art_blakey03バードランドの夜 VOL.2
(A NIGHT AT BIRDLAND VOL.2)

アート・ブレイキー(ART BLAKEY)の「バードランドの夜 VOL.2」(A NIGHT AT BIRDLAND VOL.2)です。
BLUENOTE原盤の、リバティによるリイシュー盤になります。元々はモノラル盤ですが、これはどちらかというと嫌われ者の、「ELECTRONICALLY RECHANNELED」という、いわゆる擬似ステレオ盤です。

ジャケットのデザインもオリジナルとは異なっていますが、これはこれで結構有名なデザインでした。表面には司会を担当したピー・ウィー・マーケットの写真も載っていますから、そういう意味では貴重なバージョンかもしれません。

パーソネルは、ドラムスにアート・ブレイキー、トランペットにクリフォード・ブラウン、アルトサックスにルー・ドナルドソン、ピアノにホレス・シルバー、ベースにカーリー・ラッセルといったメンバーで、ジャズ・メッセンジャーズを結成する直前くらいのクインテットです。

このレコードはライブ録音を嫌っていたブルーノートのアルフレッド・ライオンが、バードランドに録音機材を持ち込んで録音したものです。後年には、このレコードをして「ハードバップ誕生の夜」などと持ち上げられたほどの、熱演が堪能できます。この後、BLUENOTEには「ナイトクラブ・シリーズ」が有名になりますが、これはそのはしりとなった記念すべきものでもあります。
また、メンバーのうちクリフォード。ブラウンは、この後2年ほどで不慮の死を遂げますから、彼がBLUENOTEに残した演奏の一つとしても貴重なものでしょう。

演奏は、とにかく熱気に溢れた現場の雰囲気が伝わっており、ブラウンの素晴らしさは言うまでもなく、コテコテへ向かう前のパーカー直系とも言えるルー・ドナルドソンも快調なプレイを披露しています。殆どを取り仕切っているのは、ブレイキーに間違いなく、おそらくは汗まみれになりながら各メンバーをプッシュし、掛け合う様子が手に取るように分かります。
リイシュー盤ではありますが、当時の東芝は直輸入盤を販売するしか能がないレコード会社でしたから、1970年代の日本発売盤と内容は変わらないことになります。


※このレコード評は、旧き佳き時代とジャズへの想いを込めた音化店主:能登一夫の評文です。